ヤブクグリの和菜屋
福岡県北九州市の小倉にある『団らん処 和菜屋』は、三村和礼さんが作業療法士を10年間勤めた経験を基にして作り上げた飲食店。店舗を通じた地域のコミュニティづくり、医療福祉の情報提供、高齢者の居場所となる場づくりを目指して和の惣菜を扱う店を開きました。訪れるお客様と会話しながら、その人に合った惣菜をおすすめしています。
そんな三村さんの熱い想いを具現化したのが、北九州市の建築設計事務所 株式会社 タムタムデザインの代表の田村晟一朗さん。「居心地のいい空間づくりや、お惣菜を美味しそうに見せるために、田島山業の木の力を借りた」と語ります。店舗の床面、カウンター、ルーバーなどに田島山業の杉が使われており、土壁やモルタルなどの異素材とのコンビネーションでさらに魅力が増しています。杉を使った和菜屋のデザインと香りに惚れ込み、自宅の玄関用に杉のフレームの購入を希望するお客様もいるほど。
まだ設計に手をつける前の段階から、三村さんと田村さんは田島山業の森や製材所にまで訪れています。そこで『林地残材(通常工程では山に捨てられる部分)』の課題への取り組みを知り、自分も協力したいとの想いから、和菜屋に林地残材を使用したスツールやカウンターを導入することを決めたそう。
「ご縁に恵まれたプロジェクト」だと田村さん。今では、三村家と田村家、田島山業が家族ぐるみでバーベキューを楽しむ仲に。仕事の受注者と発注者という関係でなく、人と人の関係がそこには生まれています。
『団らん処 和菜屋』オーナー 三村さんより
お店の杉はやさしい色味をしていて、やわらかく、ぬくもりのある場所を作ってくれていると思います。田島さんから森の話を聞いたこともあって、お客さんから木のことを尋ねられると力説してしまうことも。地域への愛が強い田島山業に協力してもらった代わりに、こちらからも協力したいという気持ちが生まれています。
所在地:福岡県
制作年:2015年
パートナー :株式会社タムタムデザイン