ヤブクグリの家

床から天井、大黒柱まで、田島山業のヤブクグリをふんだんに使った住宅。ヤブクグリは大分県日田地方に伝わる天然乾燥手法『葉枯らし』『棚掛け』を行うことで、美しい赤みと豊かな香りを引き出しています。2013年に田島山業が株式会社 松尾組と出会い、生産者と住宅工務店の垣根を越えて取り組んだ事例。その二者が手を組んだことで、普段はオフィスを使う打ち合わせを森の中で行ったり、新居の大黒柱となる木を伐倒するなど、通常の家づくりにはない体験を施主であるご家族に提供することができました。

施工にあたっても田島山業と松尾組が連携。木材の性質や使い道の向き不向きを田島山業からも伝えることで、適材適所の家づくりができています。「田島山業と仕事をすると、木の知識をたくさん得ることができる。木材の使い道や加工方法などを生産者の方と話す機会を作れたことで、よりよい家づくりができたと思いますね」と松尾組の担当者は語ります。

また、ヤブクグリの木目の美しさに大工が惚れ込み、手間と時間を掛けて天井板の配置にこだわるなど、安く早く仕上げることが求められる通常の仕事とは異なる作り方にモチベーションが上がったという話も。生産者と工務店が手を組むことで、木の伐採から流通、使い方に至るまでが刷新された事例となっています。

施主のMさんご家族より

森に足を運び、家族で大黒柱になる木を伐ったことが印象深いです。今でも遊びに来たお客さんには、大黒柱を必ず自慢してしまいます。住み始めたころよりも床や壁の色味がなじんできたり、住むほどに変化を楽しめる家だと感じています。 

所在地:福岡県
制作年:2015年
パートナー: 株式会社 松尾組