この度、生協雑誌 クリム 2022年1月号の新春特集にて、弊社代表取締役 田島 信太郎及び統括本部長 田島大輔の取材内容が、掲載されました。「新しい年の始まりに、地域を照らすそんな生き方を考え、自らの人生も振り返り、考える時間を持てるような特集」とのことで、なんと、 遠い外国で現地の人のために用水路づくりに取り組んだペシャワール会の中村哲さんの次頁に掲載いただきました。
残念ながら、著作権等の関係上、こちらではご紹介ができない為、許可を頂いた文章のみ、下記にて紹介させていただきます。
断固、森を守る
「文明の前には森林があり、文明の後には砂漠が残る」。これは、19世紀のフランスの小説家であり政治家であるシャトーブリアンの言葉です。国土の3分の2を森林が占める日本。今、森が、そして、森を守る人たちが悲鳴を上げています。
大分県日田市中津江村にある田島家(田島山業)は、鎌倉時代から800年にわたり森とくらし、今では東京ドーム約255個分という九州最大級の森を守り続けています。田島家が守る森は、澄んだ空気に木漏れ日が心地よく、健やかに真っすぐ育つ木々が美しい。この森の美しさは、人の手が適切に施されている証拠です。
林業は、木を植えて、育てて、使って、また植えるが基本。ですが、今は木の価格に比べ、50年以上かけて育てるための経費が高く、バランスを欠いた状況です。それでも、田島家が森を守り、続けるのは、先祖のため地域のため、田島家に生まれた逃れられない運命のためなのか。森を守ることは、なにも田島家だけの問題ではありません。私たちにもできることがあるかもしれません。
みんなで一緒に育む森のある暮らし
「今までうちの木が、どこでどのように使われているかわかりませんでした。僕らは、お客さまに森に来て実際に木を見てもらい、『田島の木を使いたい』と思ってもらえるような消費者とのつながりを大切にしています」と話すのは、田島山業㈱ 代表取締役の田島信太郎さんです。
田島家の木は、70~80年かけて育て(通常50年程度)、天然乾燥させるなど、時間も手間もかけています。大手ゼネコンと協働で、日本初の10階建て木造高層建築も手がけました。
「木は伐った後も二酸化炭素を吸着してくれます。木造高層建築は、森がそのまま都市に移動したようなもの。今や世界のトレンドです」
施主が木を選べる産直住宅、家具の製作、森での結婚式、バイオマス活用、7年周期でできる早生樹の研究、近隣の沢わさび農家と連携した森林づくりなど、田島家はあらゆることに挑戦しています。挑戦しなかれば、森を守ることができないのです。
現在、一般的に1ヘクタールあたりの木材収入は90万円、育てるための経費は約114~245万円。木を伐った後、再び木が植えられるのは3~4割程度で、このままいくとはげ山が増えるばかりです。
「国土の約7割を森林が占めるフィンランドの人たちは、自分のお気に入りの森があって、暮らしの中に森がある」という話を聞いていると、私たちもそんな暮らしができないものかと思えてきました。息子の大輔さんが穏やかな口調で語ります。
「今、森の二酸化炭素吸着量を企業に買ってもらう制度があり、企業の人たちが森に興味を持つようになりました。企業だけでなく、一般の人たちにも森に関わってもらい、一緒に森を育て、いつでも森に遊びに来てもらえるような仕組みを近い将来つくりたいと思っています」
私たちが暮らしの中でできること。使われている木が国産化、そして、その森に新しい木が植えられているかを意識すること。小さな意識が大きな力になるかもしれません。
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